第69章 ママに世話されたくない

けたたましい着信音が、佑奈の思考をぶつりと断ち切った。画面には見知らぬ番号。迷いは一瞬だけで、彼女は通話ボタンを押す。

「佑奈さんでいらっしゃいますか?」

受話口の向こうは切羽詰まった声で、ざわついた騒音が混じっていた。

「はい。どうしました?」

佑奈はスマホを持ち替え、空いた手で鉛筆を走らせる。紙の上に、無意識の線が増えていった。

「市立病院で有川菜央さんを担当しております看護師です。先ほどお父さまが急用でお帰りになったのですが、いまお子さんが泣いてしまって……どなたか付き添いを求めていまして。恐れ入りますが、病院まで来ていただけませんか」

その言葉に、佑奈の手が止まった。片眉...

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